メモ  グノーシス主義と愛の神
       
キリスト教と同時期に地中海地方に興隆した宗教思想。
北部メソポタミア起源。
グノーシス主義は二つの世界を想定する。
悪い世界は律法の神の創造したこの世界であり、
良い世界の一部である光の粒を含んだ霊的人間が閉じこめられているとする。
良い世界の神は父と呼ばれ、愛の神であり、イエスを悪の世界に派遣したという。


予言と解釈  予言と解釈

果たして、この世界は悪い世界であり、滅ぶべきものか。
確かに、人間の構成要素である精神は善であり、光であり、それが肉体に捕らわれている。
しかし、この世界にあるからこそ、現実的な喜びや悲しみが生じるのであり、
その喜びや悲しみが人間存在の本質的要素を構成する。
そして、この世界での経験が魂を進化させるのではないだろうか。
この世界とは別に良い世界を想定するが、その良い世界の存在は確認できない。
世界と存在を説明するために、人間が現に存在するこの世界を悪い世界とするのは感心しない。
律法の神はなぜ、悪い世界を創造したのか。
聖書に見られる律法の神の業績は悪だろうか。
確かに、律法の神は父性的であり、厳正であるが、正義の神である。
端的に愛の神とすることはできないが、人間に対する愛に基づいて正義を行使するのではないだろうか。
人間はこの世界の他に良い世界を想定して、この世界が滅ぶのを望むのではなく、
この世界をより良くしていく方向を選ぶべきだろう。




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